あよあのたす

書き散らし

2014年07月の日記

上半期の読書覚書
・神林長平 『我語りて世界あり』
「個性」「名」という目印の問題を鋭く問いかけるSFという印象だった。

・スガ秀実 『1968年』
華青闘のインパクトと影響力がよく解る戦後史。文学論はあんまわかんなかった。

・E.ユンガー 『砂時計の書』
宇宙的想像力で刻まれた文明論。身に刻まれた生活感覚は自明じゃないと。砂時計欲しいな。

・M.シュティルナー 『唯一者とその所有(下)』片岡訳
本書の右に出る生の雄叫びは知らない。草間訳より解り辛い箇所もあった。

・澁澤龍彦 『妖人奇人館』
一応古代イラン史専攻だったのもあって60年代の古代石器殺人事件が結構興味深い。

・森省二 『正常と異常のはざま』
「境界」をキーワードに微妙な精神症状を色々ご紹介。アベトモ漫画的際どさ漂う。

・M.ボス 『不安の精神療法』
ピンと来ない論点も多いけれど精神分析批判は結構説得力ある切り口だったかも。

・滝口清栄 『マックス・シュティルナーとヘーゲル左派』
哲学史詳しくないので、後期フォイエルバッハについて知れてめっちゃ有難い。

・M.シュティルナー 「芸術と宗教」辻訳
1842年。芸術を革命、宗教をステートと見れば、後の反逆論に相似と言えるかなあ。哲学主義って感じ。

・M.シュティルナー 「ユウゼエヌ・スウの『巴里の秘密』」辻訳
固定観念や自己所有にも言及する道徳論評。1844年当時の著者の鋭い視座が反映されまくり。

・笠井潔 『バイバイ、エンジェル』
矢吹駆はじめて読んだ。震えた。情緒にも思惟にも只ならぬ刺激剤。続編も読みます。

・伊藤計劃 『ハーモニー』
着眼点や表現が実力の賜物。悟りはあるが答えはなかった。少女時代のミァハ好し。
2014年07月09日(水)   No.51 (メモ)

無題
 今更アートの獣道に入るつもりはないけれども、そういう系の質疑応答をしている動画を見て、あらためて思ったこと。

 文学部に入ると(或いは他学部でも)結構な人数が一般教養で美術史について学ぶわけだ。
 そこで「はあ成程、近代において美術とはこのような戦いの歴史を辿ってきたんだなあ、知らなかった」と普通に感心し、「勉強」することになる。これは確かに役立った。
 そして当然テストがあるわけだけども、そうすると「ダダや前衛はこのような歴史的文脈の中に生まれ、このような評価を下せる」と記述すれば、「よく理解していますね」と研究者から得点を与えて貰えることになる。
 しかしこういう後代のアカデミックな価値付けなんてのは、やっぱりそれを歴史の過渡期の中でやっていた当の本人からすれば、体たらくというか屈辱なんじゃないか。故人の真似するにしても「回収」されたら負けのような。
2014年07月06日(日)   No.50 (雑記)

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2014年07月09日(水)
上半期の読書覚書
2014年07月06日(日)
無題

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