「Project-μ 全五作品 後追いプレイ記」 序文

2016/09/24


*序文


 かつて大阪市内に「Project-μ」という名前のPCアダルトゲームブランドが存在した。

 2000年に処女作『北麻鞍博士の憂鬱』でデビューし、第5作目『銀の蛇 黒の月』を発表後、2004年に解散。2016年現在から振り返れば10年以上前の、恐らくは「エロゲーバブル」とか、「ポスト葉鍵ブーム」とか、様々に言い表されるであろう数年間である。その激流の辺縁で確かな存在感を放って花開いていたが、惜しくも短命で散ったクリエイター・チームが彼らであった。

Project-μ 全五作品


 ここに書き綴るのは、筆者が前時代からの「掘り出し物」と化していたProject-μ(通称「ぷろみゅー」)のゲーム作品に出遭い、「後追いプレイ」という形でその独創的な世界にドップリ浸かりながら、それを取り囲んでいたファンの姿、ブランドの評判やポジション、市場の状況などについての情報を収集し、後は心任せに綴っていくという「プレイ記録」である。
 即ちこれは物語の内容について深く考察していくような作品論ではない。また、Project-μの作品からその存在意義を見出そうとする大仰な時代論でもない。そのような大仕事の機会は他の誰かに譲るとしよう。
 確かにブランド紹介文やレヴューの役割も兼ねてはいる。だが、基本的な重点はそこにはない。あくまで、筆者が自分なりの触れ合いの中で感じたことや紡ぎだした思考を主観的視点から文章化しようという試みに過ぎない。本稿がゲームプレイ記であり、リアルタイムに感じたこと、終わってから掘り下げて気付いたことや知ったことについての記述を主としていることに関してはは、予め強調しておくことにする。

 もしも、このような極めて私的な試みによって、例えばProject-μとは無縁なゲームプレイヤーの思わぬ関心を引くことになったり、一定以上通じている人々に新たな気付きを与えることが出来たり、或いはゲームの枠に収まらない物事一般について何らかの発見を呼び起こすきっかけになるようなことがあれば、これ幸いと言ったところである。
 よって、対象読者には、完全に未プレイの人々から、全作プレイ済の超一流ゲーマーの諸氏まで幅広い層を想定せねばならない。それゆえ、所謂「ネタバレ」の問題にも充分配慮する必要があるだろう。
 上述の通り、「Project-μプレイ記」は深い考察を目的としたものではないが、筆者の「気付き」に応じて、断片的な形で作中の「重要なシーン」や「背景設定」に言及することが多々ある。これについてはその都度、「これから何について語るのか」という形で、最低限の注意喚起を行うことになる。だが、細かな前情報を知らないままでプレイしたいという人々については、この記録を完読することはやはり避けた方がよいだろう。
 但し、或る程度の前情報が入って来ることには抵抗がないとか、そもそもプレイする気がないという人々にあっては、そのような心配は無用だろう。寧ろ、拙稿を通じて作品の面白味を垣間見たり、諸々の私見に対して異論や批判的感想を持ってくれることがあれば嬉しいものである。きっとそうなるように努めるとしよう。

 Project-μは、その全盛期にあっては、クリエイター達がOHPの内外でユーザーと密接に交流し、謂わば「カルト的」な支持を得ていた、「知る人ぞ知る」ゲームブランドである。実際、解散後も「趣味に走った」と書かれてしまうような有志の集まりだったようだ。
 本稿から、その「趣味」の世界を追うことの面白味が読者諸氏に少しでも伝われば本望である。



文責:あよのた






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